公益認定得れば、収益事業でも非課税?
2007年12月6日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
主席研究員 福島 達也

 

5日の日経新聞の記事を見て、はっとした人もいるのではないでしょうか?
与党の税制改正大綱は13日に出る予定ですが、4日、20年度の税制改正大綱の素案が示されました。
基本的には、この大綱に沿って、来年の税制改正が決まることになりますので、13日が楽しみですが、今回の素案の中に、新公益法人の課税についても概要が示されました。

まず、2008年12月に新制度がスタートすると、公益認定を得た「公益社団法人・公益財団法人」については、現在よりも税優遇がさらに広がることになります。
というのは、従来は法人税の課税対象だった33事業に該当していても、有識者で集う公益認定等委員会が、その事業の公益性の有無を判断し、公益事業として認めたものは、すべて非課税にするからです。
これは公益法人にとって大変画期的な改革になります。
今まで、行政からの委託事業や介護保険事業などは、いくら公益性があっても法人税の課税対象事業として、税金を払わなければならなかったのですが、今度は、法人税法上いくら税金の対称になっていても、公益認定等委員会が「これはまさに公益事業だ」と認めれば、非課税になるのですから・・・。

来年から日本も大不況が始まるといわれているのに、これで大丈夫なのでしょうか???
まあ、消費税もいずれ上げることですし、取れるところから取るということなのでしょう。

また、公益性が認められなかった一般法人(一般社団法人・一般財団法人)については、依然として課税は強化となる見込みです。
税率も、原則として一般企業並みの法人税率が適用され、公益性のない非公益事業については、すべて課税対象となるのです。

しかし、ここで意外だったのは、誰からも監督を受けない一般法人であっても、解散時に残余財産を国に寄付することなどを条件に、法人税の課税対象を従来どおり33事業に限定する特例を維持するということです。
つまり、一定の非営利性がある一般法人は、現在のNPO法人と同様、収益事業のみが課税(もちろん軽減税率はなし)になるということなのです。
ということは、寄付金収入(任意団体からの繰入金も同じ)も非課税ということになります。
平成20年を待てずに中間法人化してしまった団体は、払わなくてもよかった税金を払ってしまったということで、なんだかかわいそうな気がします。

ただ、誰がその判断をするのかはまだ未定ですが、許認可もなく、自由に誰でも設立できる一般法人の事業の非営利性を誰が認定するのでしょうか??大変疑問です。
恐らく税務署任せになるのでしょう。
NPO法人の現場でも同じことが言えるのですが、課税か非課税か、各税務署によっても見解が分かれそうな一般法人の非営利活動については、宿題を完全に税務署に投げてしまったということになります。
「一般法人の事業はすべて課税にする」として始まった、今回の公益法人制度改革でしたが、最後の最後に来て、一番複雑な結果になったような気がします。
現場の混乱は永遠に続いてしまうでしょう。
これでよいのでしょうか??

非営利法人総合研究所

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